本体工事との擦りあわせ

 お客様の要望を汲み取って建物本体の設計者や外構担当者がプランを作ってきます。その時、外構の計画と建物本体の計画を矛盾なく調整することを擦りあわせと呼んでいます。例えば門扉のところにインターホンがほしければ建物からインターホン用にコードを出しておいてもらわなければなりません。電動シャッターを付けたければそのための電源を本体から出しておいてもらうのが普通です。

 ハウスメーカーからの外構工事をしている業者さんにとっては常識的なやり取りなのですが、これが意外とできていないことが多いのです。外構の計画が本体よりも遅いせいもあるでしょうし、お客さんと外構担当者との打ち合わせが本体工事の末端の職人さんまで伝わっていないこともあります。ましてや外構業者をお客さんが探してきた場合などはその調整作業をお客さんがやらなくてはならなくなります。本体業者にとってはその外構業者とは何の契約関係もありませんから外構業者が直接変更などを申し入れても聞いてくれないことが多いからです。

 そこでありがちな擦りあわせ事項を思い付くままに挙げてみたいと思います。中には本体が上棟してからでも間に合うこともありますし、基本計画に関わることで着工前の役所申請の前に申し送っておかなければならないこともあります。

 

  1. 道路からのアプローチはとれているか
  2. 本体の基本計画の段階でラフでも外構のプランを考えている設計屋さんならばあまり大きな失敗はないのですが、中には本体計画は玄関ポーチまでと割り切って、道路からそのポーチまでどうやって上がっていくかを全く考えない設計屋さんもいます。すると門扉を付けようと思ったら扉がポーチに当たってしまうほど余裕かないとか、道路から高低差があるのに階段を付けるだけの寸法がとれない、などということになりかねません。

     そういう場合は玄関ポーチを小さく変更するとかどうしようもなければ玄関のレイアウトそのものを変更しなければならないかもしれません。外構業者に言われて本体の計画を変更するのは設計屋さんのプライドが許さないみたいですし、まして作りかけたポーチを壊すのは嫌がられますからぜひ基本計画の段階でチェックしておく必要があります。

  3. 掘り込み車庫の回りの基礎は深基礎になっているか
  4. 道路から高低差がある場合は車庫の部分を地盤より掘り込むことになりますが、それが建物に接しているところでは基礎をその分見込んで深く作っておいてくれないと掘ってみたら建物の基礎が出てきてしまったということになりかねません。

     その点あらかじめ深基礎に作ってあれば外構業者は楽なのですが、ここにもう一つ問題があります。基礎が深くなった分計算上の地盤の高さが低くなるのです。そうすると相対的に建物が高くなったのと同じことになって高さ制限に引っ掛かるということもありえます。建物が終わってから外構工事をやったら建物の役所検査がとおらなかったなんてことになるのです。そういう場合は建物基礎に沿って10センチでも土を残して土留めを巡らさなくてはなりません。

  5. 道路斜線の緩和処置を受けているか
  6. 建物の高さ制限の一種に道路斜線というのがあります。道路に面して建物をあまり近くに建てないように、道路をある程度オープンなスペースとして確保できるようにというのが制限の趣旨だと思います。この制限に緩和処置というのがあって、建物をこの制限よりある程度高く建てていい代わりに道路に面した塀の高さを1.2M以下にしなければいけないという制限を受けます。

     本体の設計屋さんは建物を目一杯建てたくてよくこの緩和処置を利用しますが、それによる塀の高さ制限についてはほとんど説明されることがないようです。1.2Mというとかなり低いのでインターホンやポストの取り付けも工夫しなければなりません。建物の設計が終わって外構の設計段階になって始めてお客さんも事情を知らされることになります。オープンな外構を望むならばそう問題はありませんが、プライバシーに敏感でクローズされた外構を絶対に必要とするような場合は建物の計画を根本的にやり直さなくてはならなくなります。

  7. インターホンの位置
  8. インターホンを道路から使えるように門扉の脇に付けるか、玄関の脇に付けるかは上棟のときには決めておかなくてはなりません。門扉のところで使えるようにしておけば見知らぬ人に中に入ってこられることが少なくてすみますが、いたずらを心配されて玄関脇に持ってくる方もおいでです。この場合は外構で工事することはありませんが、門扉の方に付けたいときは建物から接続ボックスを介してコードを出しておいてもらわなくてはなりません。合わせて二世帯住宅の場合や勝手口がある場合などもインターホンをどう付けたいか建物の電気屋さんによく申し伝えておく必要があります。

  9. その他の配線
  10. インターホンの他に門灯、庭園灯、その他の照明、電動シャッター類などもスイッチの要不要、スイッチの位置、接続ボックスの位置などを電気屋さんに伝えておいてください。今は必要としていなくても屋外で使えるような防水コンセントを一つくらい付けとおくと庭で電気を使うときにも便利ですし、いざというときにそこから照明用に電源をとることもできます。

  11. エアコン室外機の位置
  12. エアコンは通常電気屋さんと違う業者が扱いますので電気屋さんと打ち合わせて安心していると思いもよらない場所に室外機が設置されることがあります。エアコンの性能上の制約もありますが、できるだけメインのアプローチから見えないようなところで塀との距離がある程度取れるところに設置してもらってください。

  13. マンホールの位置
  14. マンホールは排水菅が接続する場所や曲がる場所に作られます。中には大きなマンホールの代わりに小さな掃除口で代用できる事もありますが、これらの位置はそんなに変更することはできません。アプローチなどの目立つところに出るときは化粧の蓋を用意したりする必要があるでしょう。少々お金がかかります。

     一番気を付けなければいけないケースは高低差があって階段を付けなければならないときにマンホールとぶつかると階段が作れません。うまく踊り場を作ったり小さな掃除口にする必要があります。また排水経路を階段や掘り込み車庫が横切っている場合も要注意です。配水管は手前で深くしておいてもらわないと配管してからでは部分的に低くするわけにはいきません。

  15. メーターの位置
  16. 電気、ガスのメーター位置はたいてい建物自体に付きますので検針の人が入ってくることさえ覚悟すればそれほど問題はありません。ただ水道メーターだけは思いもよらないところに設置されて、あとからクレームになることもあります。水道メーターは道路の本管から1.5mくらいの範囲に設置することが指導されることが多いので、メインのアプローチに掛かりそうなときは引き込み位置のほうを移動してもらったり、上手に植え込みを配置してメーターを隠すなど工夫をした方がいいでしょう。

  17. カーポート屋根は役所検査に引っかからないか

町で普通に見かけるアクリル板を張ったカーポートの屋根はほとんどの場合建築基準法をクリアできません。それが建物の面積に算入されるので建ぺい率オーバーになってしまうことが多いのと、たとえ建ぺい率に余裕かあっても不燃材ではないので防火上の規制をクリアできなかったり、それも問題なかったとしても建物として作られていないので役所から構造計算書の提出を求められても応えることができないのです。

 現実問題としてどうしているかというと役所の最終検査を受けないか、受けた後に設置するという方法をとるしかありません。事前にその辺の方針が出ていれば慌てることはないのですが、すっかり出来上がってから役所検査と聞かされるとせっかく取り付けた屋根も一時的にでもまた取り外すはめになります。

 

以上どれも基本的初歩的な擦りあわせ事項だと思いますが、こんなこともできていなかったかと思い知らされることが多いのも事実です。

 

 

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