第二章 エクステリアのイメージ

 建物を作るときには誰しも色々な要望をもっているものです。台所はシステムキッチンがいいとか、ジェットバスが欲しいとか、収納がたくさん欲しいとか、タイル張りの外観がいい、とか。それらを汲み取って建物の設計士がプランを作っていくわけですが、それぞれの要望にはランクがあって、コストや敷地条件などとの相談で妥協する部分が出てくるのが普通です。でも初めの要望の中に外部についての要望もインテリアと同程度に入れておいてほしいというのがエクステリアプランナーとしての希望です。打ち合わせの過程でいろいろな事情であきらめる部分があることは仕方ありませんが、インテリアと違って建物の基本的配置などは後から変更が出来ません。インテリアしか考えない建築屋さんは外部をぎりぎりまで詰めることが豊なインテリアを作ることに繋がると勘違いしています。でももう少しの外部空間があれば戸外室がもう一つ作れ、豊なエクステリアライフが楽しめるというケースがよくあります。これは今のところお客様の側から言い出さなければ作ってもらえないのが現状です。

建物の配置が設計士にほとんど任されている以上、エクステリアの基本的レイアウトにお客様の要望を取り入れられる範囲は限られています。これから家を建てようという人が希望の外回りを計画してもらうために最初の段階で必要なことは、希望のイメージを明確にすることです。外構のイメージといってもここで必要なのは外観のイメージではありません。建物の外で何をしたいかという生活のイメージが欲しいのです。

外観のイメージは仕上材などでかなり変わるので、計画の最終段階でもかなりの変更が効くものです。でも必要としているスペースに関しては、建物の配置が決まると変更が効きません。

もちろん外構のイメージがわかないというお客様はめずらしくありません。曖昧なイメージをより明確にするためにエクステリアの本を読みあさったりガーデニングの本を見るのも無駄ではありません。仮に本にピッタリのデザインが無くてもこういうのは違うなという逆の情報でもプランニングにはとても役に立ちます。

またイメージをより明確にするために外(庭)で何をしたいかを考えてみるといいと思います。

例をあげて考えてみましょう。

草花を育てる

 果実、四季の花、香りの花、日陰の花、山野草、盆栽、特別な色の花、水性植物、菜園、ハーブ、ハンギングガーデン、ロックガーデン

 

 マンション住まいから一戸建てに移ったりすると、まずは庭で草花を育てたいと考える人は少なくありません。その場合、計画として欲しいのは日照と通風です。そのためあまり高い塀はお勧めできません。目隠しが欲しい場合は工夫が必要です。また建物の配置的には南側にオープンスペースが欲しいところです。都内の建てこんだ地域ですと、南側に庭をとってもすぐに隣家が建っているので、部屋の中には日が入っても意外に日当たりのいい庭は難しいものです。実際には草花全てが日当たりを好むわけではありませんが、日陰ではおのずと楽しむ草花が限られてしまいます。

 最近では花を愛でる目的ではなく、自然と触れ合う目的でより自然植生に近い植栽をすることも多くなりました。池などと組み合わせて小動物を観察するのもいいものです。

食事をする

 バーベキュー、パーティー、朝食、ランチ、ティータイム、お茶会、ナイトガーデン

 バーベキューはお勧めの庭の使い方の一つです。お金はかからないし、部屋が煙で臭くなることもありません。テラスのような床のあるスペースがお勧めです。ウッドデッキでもいいですし、タイルやレンガでテラスを作ってもいいと思います。気を付けなくてはならないのはその広さで、建築でしばしば計画するような、1Mくらいの出のテラスでは、せいぜい植木鉢を置くことぐらいしかできません。人が集まって飲み食いするのであれば最低でも1.8M、できれば2.7Mくらいは欲しいところです。

 でもお茶が飲めるくらいの憩いの空間は、広い庭が無いとできないわけではありません。少し広めに作ったテラスのすぐ外が道路であっても、適当な目隠しを廻らせば落着いた空間にすることができます。

 

 

 またバーベキューをするからといってレンガ作りのコンロがなくてはいけないわけではありません。最近はキャンプ用品が充実しているので、必要な時にコンロを出してきても全く問題ありません。必要なのはそれらの収納場所でしょう。

 

眺める

 居間から、風呂から、玄関から、和風庭園

 伝統的な和風庭園は眺めるための庭の典型です。そこまでご立派な庭園を作らないまでも、玄関に入ったところから庭の景色が見えるような設計やお風呂から中庭が眺められるような設計は良く見かけます。
 ここで気を付けなくてはならないのは、地面の高さです。大抵の建物は一階の床が地面から50cmくらい上がっています。そのため部屋の中から見ると建物の近くの地面は全く見えないのです。窓枠が床から上がっていればなおさらです。ですから意図的に窓からの景色を計画する場合は、断面図で視線を確認し外の景色を計画しなければなりません。そうすると以外に遠いところに景色を作らないと見えないということが判ってくるはずです。坪庭と呼ばれるようなスペースは、見えにくいだけでなく庇が周っているせいで雨が当たらず乾燥気味で日も当たらないどうしようもないスペースになりがちなのです。

スポーツをする

 ゴルフ、キャッチボール、縄跳び、筋トレ、プール

 ゴルフ好きのお父さんはの中には少しでも芝が欲しいと思う方もいるのではないでしょうか。でも一般的なコウライシバは、広い天空からの日照が必要ですから現実にはかなり広い庭でないと上手に育ちません。周りの樹木も低くないと日陰が出来てしまいます。南面のオープンスペースは必ず必要ということです。では冬でも緑の西洋芝なら良いかというと、成長が早くて芝刈りが大変です。また種から生えるのでなかなか一様に育ってくれません。

 ゴルフ以外で、トレーニングスペースが欲しいという場合は、サービスヤードを兼ねたような形で、舗装された場所が適当だと思います。重い器具を扱うにしても縄跳びをするにしても部屋の中のように気を使わずにすみます。器具はサービスヤードの物置に収納できます。

動物を飼う

 犬、魚、その他ペット

 犬を飼う場合などは、飛び越えられないフェンスとぬかるまない床が欲しいところです。草花や観賞用の庭園は相容れません。また観賞用の鯉などは特殊なケースで、池と巨大な浄化システムが必要です。

趣味

 日曜大工、絵を描く、読書、楽器を演奏する、焼き物を作る、日焼け、お茶会、現実を忘れる、昼寝をする、

趣味によっては室内を汚してしまうようなものもあります。そんな場合に外で楽しむ場所を作っておけば快適です。

 思い当たる項目がありましたか。”外で**をしたいんだけど”と建物の設計士に伝えておきましょう。建物の設計士なりに考えてスペースを確保してくれるはずです。

 この章で扱うイメージは以上です。スペイン風のデザインやアジアンテイストのデザインをイメージしていた方には少し肩透かしだったかも知れません。でもこの段階で必要なイメージは、建物の配置計画の中でスペースを確保するためのものですから見た目のスタイルではなく、そこで何をしたいかという情報が大切なのです。スタイルを検討するのはまだ先です。

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