日本の建築文化を創り上げてきた伝統木構法が今、危機的な状況にあります。それを支えて来た職人技術や社会の生産基盤も失われようとしています。
私たちの祖先が千数百年かけて創り上げた伝統木構法は、現代の
科学で解明されていない優れた部分も多く、未来の木造建築技術
として多大な可能性を持っています。
それは過去の文化財に見るだけの技術ではなく、今も生き続けて
いる技術です。
現在の危機的状況を回避しなければ、伝統木構法が持っている日本の環境にあった技術、自然と人の生活を大切にしてきた心、そうした職人を育んできた日本の伝統を未来につなげることはできません。
これらの事態を打開し伝統文化を未来に継承発展させるには、
まず法的環境や社会制度の整備が不可欠との認識から、国民的署名
活動と国会請願をめざす「伝統を未来につなげる会」が、昨年11月、
有志団体・大工・文化人等の発起により発足致しました。
長く疎外されて来た伝統文化の復権・再生をめざすには、建築団体
のみならず、多様な伝統文化の継承、林業の再生、地域の振興、
環境問題の解決、次世代の育成、その他様々な問題に取り組まれて
来た社会の幅広い層との協働が必要です。